いと。
休日に食材を買いにスーパーに来た私。
ブロッコリーを手に取り鮮度を見ていると、
「あの…おねえさん。」
服を後ろからつんつんと引っ張られる感覚に思わず振り向くと、そこにいたのは先日LINKに来ていた女の子だった。
「あ…、こんにちは。お買い物?ママと一緒?」
しゃがみこみ、視線を合わせて笑いかける。
…誰かに似てる………?
「あのね、ママがねー…」
「薫子!」
呼ぶ声の方向を見るとそこにいたのは女の子の母親で、一瞬私を見て驚いた表情をした後はにこりと笑顔を作り、歩み寄ってきた。
「あ、こんにちは。先日ご来店いただいたLINKの眞城です。」
立ち上がって軽く会釈をすると彼女はさらにふわりと笑顔を見せ、緩いパーマの栗色の髪をふわりと払って見せた。
その様はまるで…どこか私に挑戦的なような敵視しているような、若干の不快感を覚えるようだった。
「ええ、先日はありがとうございました。また今度、寄らせてもらいます。
あの…、娘が何か…。」
私と女の子が一緒にいたのが不思議だったのか、薫子ちゃんと呼ばれたその子の手を守るように引きながら彼女はそう聞いてきた。
「あ、私も呼ばれてちょうど振り向いたところだったんです。そしたら娘さんで…。
薫子ちゃん、何かご用事だった?」
女の子を向いてそう聞くと、彼女はとても楽しそうに口を開いた。
「あのね、かおちゃん、パパに会えるの。まだね、会ったことないんだけどね。もうすぐねー、一緒にくらすの。」
「……そう、か。楽しみだねぇ。」
『会ったことのない父親ともうすぐ一緒に暮らせる』
そんなようなことを言っていた気がしたけれど深くは聞かずにただ相槌を打つ。
すると薫子ちゃんの母親はクスクスと笑いながら話を補足した。
「あぁ。こっちで飲食店をしてるこの子の父親とようやく一緒に暮らせるんです。
ちょっと事情があってこの子はまだ会ったことがなくて…。楽しみで仕方ないんです。
やっぱり子供は両親揃って愛情を注がないといけないですよね。
でもどうしてそれをあなたに話しに行ったのかしらね。」
その顔は嬉しそうで…。でもちょっと棘を感じる話し方だった。