いと。

コンコン

「失礼します。」

「…入れ。」

入室を許された先にいたのはここの社長…つまり父だ。

ここは…老舗ホテルの総合本社。

祖父が創業してから何十年経つんだったか、海外要人も宿泊することのあるような程度の格式はある。

そこでの俺の仕事は社長補佐として動くことだ。命を受ければ地方でも海外でも行く。

…まるで壮大な使いっ走りだな。

「で、どうなってる?まだ落とさないのか。女に言うことを聞かせるのは得意だろう?」

俺と話をする時、父はあまり俺を見ない。今だって…視線は手元の書類に向けられている。

「………今はまだ。ガツガツ向かっていくのは趣味じゃないですし、彼女に印象付けている段階です。向こうが動き始めているので様子を見ながら仕掛けます。」

「そうか。…まぁいい。だがぬかるな。時間がたっぷりあるわけじゃない。

眞城には娘の心の準備を待つと言ってあるがあまり直前だと印象も良くない。」

「…はい。」

「…ふん。娘もさっさと覚悟を決めればいいものを。今はまだ男がいるんだろう。子供なんぞできる前に引き剥がせ。」

「…はい。」


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