いと。

「ありがとうございました。」

翌日の夕方、携帯ショップを出てマンションへ帰る。

そこにあったのは、真新しいトランクがひとつ。それだけだ。

カーテンすら無い西日を受けた室内はこもった熱で暑く、まるで何もない砂漠みたいに見えた。


見事にキレイに片付いたよ、薫。


自然と心は薫に向いていた。

「薫と選んだカーテン、キレイだったなぁ……。」


ごめんね、薫。



こんな風にしかできなくて。



私の…たったひとり、愛しいひと。


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