いと。
気づけば身体は、床に押さえつけるように倒されていた。
私を見下ろす視線は逆光になっていたけど、苛立ちを含んでいることはすぐにわかった。
「離し……」
両腕は強く押さえつけられ、動くことが叶わないと容易にわかる。
「お前が何を知ってるって言うんだ?」
その声は冷たく響く。
………本気で怒らせたのかもしれない。
「オレが黙ってクソ親父の言う通りにしてるって?…その通りだよ。……今はな。」
………今?
「…そうだな。言う通りにするならオレはお前の気持ちなんか無視してさっさとオレのものにしなきゃいけない。」
「…やっ!」
ぐっと…その長い足が膝を割ってきた時、一瞬ヒヤリとした背中とは裏腹に、心の中ではある想いが産まれた。
この身体はもう薫のものじゃない。
守る意味がない。
いっそ何をされたって構わない。
その方が……すんなり薫を忘れられるかもしれない。
それに…何をされてもどうせ、心は渡さないのだから。
決めてしまえばそれまでだった。私は完全に、抵抗を止めた。
その唇が首筋をなぞっても、その指先が胸を這おうとしても、構わなかった。