いと。
あてもなく歩いて着いたのは、小さな公園だった。
「……………。」
人気のないその場所は、ひっそりとしていて遊ぶ子供のいない遊具たちからは侘しさすら感じた。
そのままベンチに座りぼぅっと空を眺める。
ビルの合間の切り取られた空。そこを縫うように飛び回る鳥たち。耳をすませて聞こえるのは、行き交う車の音だ。
やっぱりなじめない、溶け込めない気がする街。置いていかれたような…取り残されたような。
生涯を共にと考える伴侶ならそんな中でも手を取り合い支え合う信頼と愛情が必要………だと思う。
薫といた頃なら、きっと何の不安もなく未来に進めたと思う。
けれど、戸澤さんとそういう関係を築ける自信は…ない。
『お前と一緒に生きたい。
お前を愛して……愛されて、父親や、まとわりつくしがらみから解放してやりたい。
目的が叶ってもずっとそばにいたい。』
『ずっと守る。ずっと愛していく。一緒に幸せになる。オレにはそれができる。』
その言葉を信じ未来を委ねるには私たちの関係も時間も浅すぎる。いくら結論を迫られているとはいえ。
それに……そう、言葉にするのは簡単だ。
欲しいものを手に入れるためならそれくらい何とでも……
『見つかってよかった』
「………あ。」
浮かんだのは、雨の中私を探してポイントインに来た彼の姿だ。切なげな表情を浮かべ、それでも安堵していた。
……………そうだ。
彼はあの時ぐっしょりと濡れながらどれだけ私を探した?
頬に触れた手は冷たかった。鼓動は速まっていた。トレードマークのメガネには雫がたくさんだった。
あれは、目的達成のための演技なんかじゃなかった。
『お前…頭ヤバいだろ。オレ以外いるわけないだろ』
『あ?…当たり前だろ。誰がメシを作るんだよ』
『キッチンでいきなり倒れられたらジャマ』
口調は決していいほうじゃない。上から目線の物言いもする。だけど、
『こんな朝早くから仕事させたら気の毒だろ』
『お前の仕事はさっさと身体を治すことだ』
言葉の棘の中にも気遣いはあったじゃない。
『してやれないことじゃない』
あれだって…………真意は何かあったのかもしれないじゃない。その後の話を聞かずに飛び出したのは私だ。
彼のことをもっと知って結論を出す。
そう言ったのは私じゃない。
「…………私のバカ。」