いと。
「ふふ、この前会ったのにまた来てくれて嬉しいわ。美味しい紅茶とケーキがあるのよ。」
「…うん。一緒に食べよ。」
また父の話をするご機嫌な母とひと時を過ごす。いつもならそれは私にとって苦痛なことだけれど、曜の笑顔を思えばそれもなんでもなかった。
窓から見える空は清々しい秋晴れで、私の曇りない想いをそのまま映しているようだった。
「………お母さん、あのね。」
「なぁに?」
紅茶を飲む手を休め、微笑んだ母は年齢の割には若く見える…と思う。
「………私、結婚する。」
なんだか気恥ずかしくてただ一言素直にそう伝えると、母は一瞬驚いてから満面の笑みで喜んでくれた。
「そう! おめでとう!あなたもとうとう生涯愛する人を見つけたのね。
で、どんな人なの?名前は?」
目を輝かせて聞いてくる食いつき方はまるで女子高生みたいだ。
「あのね、戸澤さん。戸澤曜って言うの。
Tホテル…知ってる?そこの社長の息子さんでね、とってもステキな人で………お母さん?」