いと。

「……え?」

翌朝、京都の彼女の母親のところに電話をして愕然とした。

電話に出た家政婦の女性は、愛は昨日帰ったと話した。

『えぇ。昼前には。とても沈んだお顔をなさっていて。

……あ、お待ちください。奥様が。』

「え?あぁ…。」

代わって出たのは、愛の母親だった。

『………曜、さん…ですね。』

静かな、ハッキリとした女性の声。愛の声と似ている気がする。

「はい。そうです。初めまして…。」

『……………。』

「あの……。そちらに昨日、愛が行ったはずなのですが自宅に戻りません。

どちらか行き先をご存知…」

『愛はそちらには戻らないでしょう。

結婚は白紙です。

…あなたも愛のことは忘れなさい。』

「…は?何を…っ!?」

電話は、一方的にプツリと切られた。


< 424 / 561 >

この作品をシェア

pagetop