いと。
「で?何があったの?」
食後のコーヒーを薫に手渡したと同時にそう尋ねられた。
その顔はいつもの優しさではなく、心配が浮かんだ切なそうな表情だ。
「………………」
そうだった。私は………
「せっかく昨日あんなに乱れて忘れてたトコロ申し訳ないんだけど、俺としてはやっぱりちゃんと把握しておきたい。
………父親が来たんだろ?何を言われた?」
「………っ!」
薫にはお見通しだった。
「………あの、ね。」
結局私は薫に話した。
父がLINKに来たこと。
またあの目で見られてとても嫌だったこと。
自分の世界に入ってきて欲しくなくて追い返そうとして、口論になってしまったこと。
薫は黙って話を聞いて…抱きしめてくれた。
「大丈夫。俺がそばにいるから。」
そう言って、愛おしそうに頭を撫でてくれた。
『結婚しろ』と言われたことは………
言えなかった。