常務サマ。この恋、業務違反です
「お前の報告聞いて、こっちでも過去のスタッフになんとか話を聞こうと動いてる。
不利な事実は素直に話すと思えないけど、こっちでも証拠の裏付けは並行してるから」

「……うん」

「出来るだけ早くウェイカーズからお前を引き上げる準備はしてる。だから、さ……」


真剣な瞳を私に向けてそう言い募った後、加瀬君は微妙に私から目線を外した。
そんな態度が気になって、私はおずおずと顔を上げて、加瀬君を正面から見つめた。


「……こんな真似させて、ごめんな」


ドクンと胸が騒いだ。


どうして謝るの。
これは私が部長から受けた任務だし、最終的には私だって納得した上で始めたミッションなのに。


「やだ……どうして加瀬君が謝るの。私も加瀬君も仕事の為に動いてるだけじゃない」


こんな風に謝られたら、私が辛い気持ちを抱えているみたいに聞こえる。


そうじゃない。そうじゃないの。


高遠さんを騙してるのだって、任務の為に私が自分で考えて行動した結果。
外出に同行させてもらえなくなって焦るのは、やっと近付けた高遠さんに遠ざけられたのが単に悔しいから。


それだけのこと。それだけだから。


「……社内で情報収集進める。だから、お願い。早く私を会社に戻して」


揺れる心を抱えたまま、今望むのはそれだけ。
私のお願いに、加瀬君は短く、ああ、と頷いた。
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