常務サマ。この恋、業務違反です
初めての恋人らしい時間は、その次の週末のディナーだった。
その日も明け方まで仕事をしていて、朝出社して顔を合わせた高遠さんはちょっと疲れた顔をしていた。
それでも、昼過ぎに夜に予定していたテレビ会議がキャンセルされると、私をディナーに誘ってくれた。
突然のお誘いは嬉しかった。
高遠さんが急遽予約してくれたお店は、三ヵ月は予約のとれないはずの三ツ星レストランで、もちろんディナーは最高だった。
レストランを出たのは午後十時を回った頃。
これが平日だったら、そのまま『送って行くよ』って言われたとしても、素直に頷いて従えたと思う。
だけど明日は特に予定のない土曜日だし。
普通の恋人同士だったら、当たり前にこの後は……と考えたら、私は自分から高遠さんに『お疲れ様でした』とは言い出せなかった。
『もう少し、一緒にいたい』
高遠さんの方からそう言ってくれないかな、とチラチラと何度もその姿を盗み見した。
それでも、レストランを出た後も、高遠さんは何も言わない。
それが癖になってるように、軽く左腕を持ち上げて、手首の時計で時間を確認するだけ。
私が後ろからガン見する視線にも気付かずに、顔を上げて路地を通り過ぎて大通りに向かって歩いて行く。
『まだ、帰りたくない』
私から言ったら、高遠さんはどんな顔するだろう。
驚いて目を丸くして、そしてきっとカアッと頬を赤らめる。
怖いくらい想像出来る展開。
それなら……。
高遠さんの言葉を待っていたら、焦れるだけだと思った。
その日も明け方まで仕事をしていて、朝出社して顔を合わせた高遠さんはちょっと疲れた顔をしていた。
それでも、昼過ぎに夜に予定していたテレビ会議がキャンセルされると、私をディナーに誘ってくれた。
突然のお誘いは嬉しかった。
高遠さんが急遽予約してくれたお店は、三ヵ月は予約のとれないはずの三ツ星レストランで、もちろんディナーは最高だった。
レストランを出たのは午後十時を回った頃。
これが平日だったら、そのまま『送って行くよ』って言われたとしても、素直に頷いて従えたと思う。
だけど明日は特に予定のない土曜日だし。
普通の恋人同士だったら、当たり前にこの後は……と考えたら、私は自分から高遠さんに『お疲れ様でした』とは言い出せなかった。
『もう少し、一緒にいたい』
高遠さんの方からそう言ってくれないかな、とチラチラと何度もその姿を盗み見した。
それでも、レストランを出た後も、高遠さんは何も言わない。
それが癖になってるように、軽く左腕を持ち上げて、手首の時計で時間を確認するだけ。
私が後ろからガン見する視線にも気付かずに、顔を上げて路地を通り過ぎて大通りに向かって歩いて行く。
『まだ、帰りたくない』
私から言ったら、高遠さんはどんな顔するだろう。
驚いて目を丸くして、そしてきっとカアッと頬を赤らめる。
怖いくらい想像出来る展開。
それなら……。
高遠さんの言葉を待っていたら、焦れるだけだと思った。