常務サマ。この恋、業務違反です
気持ちを通じ合わせてから十日以上経って、これが初めての『デート』
このまま食事だけで終わるなんて寂しい。
だって、次はいつこんな風に二人でゆっくり過ごせる日が来るんだろう?
「あ、あの……」
高遠さんから誘ってくれないなら、私が積極的にぶつかるしかない。
一世一代の勇気……と言わんばかりに、私は大きく息を吸って、ずっと向けられたままの広い背中に声を掛けた。
その途端。
高遠さんが小さく肩を竦めながら、クシュンと一度くしゃみをした。
ほとんど反射的に顔を上げて、そう言えば昼間もくしゃみしてたな、と思い出した。
「あ、ごめん。何?」
軽くズッと鼻を啜ってから、高遠さんの声が返って来る。
それを聞きながら、私は一歩勇み足の自分をどうにか制御した。
「……風邪ですか? いつも執務室でうたた寝ばかりしてるから。
もう。……この週末はちゃんとゆっくり休んでくださいね」
後ろから声を掛けると、ハイハイ、と軽く受け流される。
――あ~あ。せっかくの勇気が水の泡。
心の中でがっかりしながら、相変わらず自分に無頓着な高遠さんに不満を募らせて、思わず頬を膨らませた。
そんな私の様子が見えているかのように、高遠さんはクスッと笑って、顔を俯けたまま肩越しに振り返った。
「心配?」
「当たり前じゃないですか。だって高遠さん、絶対私の言うこと聞いてくれないし」
「信用ないなあ、俺」
「だったらもう少し身体を労って下さい」
亀みたいに首を竦めて黙り込みながら、高遠さんは再び前を向いた。
その視線の先に、目指していた大通りが開けてくる。
このまま食事だけで終わるなんて寂しい。
だって、次はいつこんな風に二人でゆっくり過ごせる日が来るんだろう?
「あ、あの……」
高遠さんから誘ってくれないなら、私が積極的にぶつかるしかない。
一世一代の勇気……と言わんばかりに、私は大きく息を吸って、ずっと向けられたままの広い背中に声を掛けた。
その途端。
高遠さんが小さく肩を竦めながら、クシュンと一度くしゃみをした。
ほとんど反射的に顔を上げて、そう言えば昼間もくしゃみしてたな、と思い出した。
「あ、ごめん。何?」
軽くズッと鼻を啜ってから、高遠さんの声が返って来る。
それを聞きながら、私は一歩勇み足の自分をどうにか制御した。
「……風邪ですか? いつも執務室でうたた寝ばかりしてるから。
もう。……この週末はちゃんとゆっくり休んでくださいね」
後ろから声を掛けると、ハイハイ、と軽く受け流される。
――あ~あ。せっかくの勇気が水の泡。
心の中でがっかりしながら、相変わらず自分に無頓着な高遠さんに不満を募らせて、思わず頬を膨らませた。
そんな私の様子が見えているかのように、高遠さんはクスッと笑って、顔を俯けたまま肩越しに振り返った。
「心配?」
「当たり前じゃないですか。だって高遠さん、絶対私の言うこと聞いてくれないし」
「信用ないなあ、俺」
「だったらもう少し身体を労って下さい」
亀みたいに首を竦めて黙り込みながら、高遠さんは再び前を向いた。
その視線の先に、目指していた大通りが開けてくる。