常務サマ。この恋、業務違反です
力任せに顔を上向けられて、私はただ真っ直ぐ高遠さんを見上げる。


「言っただろ? もっと甘えろって」


ほんの少し頬を赤らめながら、高遠さんはこつんと額をぶつけて来た。
上目遣いに見つめられて、私もその瞳を見つめ返した。


「……本当に?」

「バカ。疑うなよ」

「もっと一緒にいたい、って。……そう言っていいの?」


勢いに任せて言うと、目の前で高遠さんがフワッと笑った。
そして、小さく何度か頷いてくれる。


「って言うか、それ、全然我儘じゃないだろ。……半分以上、俺の願望って言うか……」


そう呟いて言葉を尻すぼみにする高遠さんと、真っ正面から視線をぶつけ合った。
そして、軽く吹き出して、クスクスと笑い始める。


「どっちの我儘だか、わからないですね」

「我儘じゃない。……お互いに同じ思いなら、いっそ本能に任せればいい」


そう言って、高遠さんは私の額に軽くキスをした。
その温もりを追いかけて、目線を上向ける。
高遠さんは私の頬を両手で押さえたまま、唇を下に下ろして来る。


こめかみに、鼻先に、頬に。
最後に軽く唇を啄ばんでから、私達は真っ直ぐ見つめ合った。
なんだか妙に照れ臭くて、どちらからともなくフフッと笑った。
< 148 / 204 >

この作品をシェア

pagetop