常務サマ。この恋、業務違反です
「何かあったの?」
問い掛けながら、ドキドキと心臓が騒ぎ出すのを感じる。
誤魔化すつもりもないのか、焦って言い訳することもなく、加瀬君は組み合わせた自分の両手を見つめながら軽く身を屈めた。
「……ちょっと、雲行きが怪しくなって来た」
「え?」
「このまま葛城を潜入させるのは、危険かもしれない」
「……何言ってるの?」
付き合いは長いけど、こんな真剣な表情をする加瀬君は新しい。
それだけに言いようもない不安が胸に湧き上がって来て、私は思わず加瀬君の腕を掴んだ。
「どうして? 何かあったの?」
不安を隠せずに聞き募る私に軽く視線を向けてから、加瀬君はグッと顔を上げた。
そのまま目線を少し横に向けて、キュッと口元を引き締める。
「?」
その様子が気になって私も同じ方向に目を向けた。
そして、
「あ……!」
ドキッとした瞬間、無意識で立ち上がった。
「こう……高遠さん!」
「え?」
私が発した声に目を丸くして、加瀬君も慌てて立ち上がった。
私と加瀬君が真っ直ぐ見つめるその先で、航平が涼やかな目をして立っている。
「あ、あのっ……!」
私の隣で一瞬ゴクッと唾を飲み込んでから、加瀬君は航平に向かって走って行く。
航平の前で足を止めると、上着の胸ポケットから名刺を取り出した。
「私、スタッフパワーの営業をしております、加瀬と申します。こんな形で初めてのご挨拶、申し訳ありません」
背中を見るだけで、加瀬君が相当緊張しているのがわかる。
それとは真逆に、航平は素っ気ない。
問い掛けながら、ドキドキと心臓が騒ぎ出すのを感じる。
誤魔化すつもりもないのか、焦って言い訳することもなく、加瀬君は組み合わせた自分の両手を見つめながら軽く身を屈めた。
「……ちょっと、雲行きが怪しくなって来た」
「え?」
「このまま葛城を潜入させるのは、危険かもしれない」
「……何言ってるの?」
付き合いは長いけど、こんな真剣な表情をする加瀬君は新しい。
それだけに言いようもない不安が胸に湧き上がって来て、私は思わず加瀬君の腕を掴んだ。
「どうして? 何かあったの?」
不安を隠せずに聞き募る私に軽く視線を向けてから、加瀬君はグッと顔を上げた。
そのまま目線を少し横に向けて、キュッと口元を引き締める。
「?」
その様子が気になって私も同じ方向に目を向けた。
そして、
「あ……!」
ドキッとした瞬間、無意識で立ち上がった。
「こう……高遠さん!」
「え?」
私が発した声に目を丸くして、加瀬君も慌てて立ち上がった。
私と加瀬君が真っ直ぐ見つめるその先で、航平が涼やかな目をして立っている。
「あ、あのっ……!」
私の隣で一瞬ゴクッと唾を飲み込んでから、加瀬君は航平に向かって走って行く。
航平の前で足を止めると、上着の胸ポケットから名刺を取り出した。
「私、スタッフパワーの営業をしております、加瀬と申します。こんな形で初めてのご挨拶、申し訳ありません」
背中を見るだけで、加瀬君が相当緊張しているのがわかる。
それとは真逆に、航平は素っ気ない。