常務サマ。この恋、業務違反です
真昼間のオフィス街。
スーツの群れが行き交う広い通りで、ただでさえ目立つ航平が私に頭を下げている。
それだけで十分好奇の視線が向けられる。
「こ、航平、止めて、顔上げて」
冷やかしに似た視線にこれ以上航平を晒したくなくて、私は航平の身体を車道側のガードレールに押して、自分の身体で通りの人の群れから隠した。
「……ごめん。こんなつもりじゃなかったんだ」
それでも、航平は更に腰を曲げる。
直角を通り越して、まるで膝頭に額がくっつきそうなくらい身体を折り曲げて、何故だか苦痛に満ちた声を振り絞る。
「航平ったらっ! なんで航平が謝るの!?」
こんな風に頭を下げられる理由がない。
私の方がもっともっと酷いことをした。
どんなに言葉を重ねても、もしかしたら伝わらないんじゃないかって思うくらい、酷いことを。
航平の腕を引いて、半分強引に姿勢を正させた。
堪らない気持ちで俯く航平を覗き込むと、航平は私の視線を避けるように目を伏せた。
「……昨日希望が居なくなった後、加瀬君に連絡した。……大体の事情は加瀬君から聞いた」
躊躇うように告げられた言葉に、一瞬ビクッと身体が震えた。
「……希望が派遣会社の社員だっていうのも、俺を探る為に秘書として派遣されたってことも」
淡々と告げられる言葉を聞いて、目の前が真っ暗になった気がした。
自分の口で伝えないと、って思ってた。
だからせめて業務命令を撤回させたくて、無謀だとわかっていて部長に立て突いた。
それなのに、こんな形で……。
「ごめん、なさい」
世界がグルッと回るような悪寒がした。
一瞬フラッと身体のバランスが崩れるのを感じた。
スーツの群れが行き交う広い通りで、ただでさえ目立つ航平が私に頭を下げている。
それだけで十分好奇の視線が向けられる。
「こ、航平、止めて、顔上げて」
冷やかしに似た視線にこれ以上航平を晒したくなくて、私は航平の身体を車道側のガードレールに押して、自分の身体で通りの人の群れから隠した。
「……ごめん。こんなつもりじゃなかったんだ」
それでも、航平は更に腰を曲げる。
直角を通り越して、まるで膝頭に額がくっつきそうなくらい身体を折り曲げて、何故だか苦痛に満ちた声を振り絞る。
「航平ったらっ! なんで航平が謝るの!?」
こんな風に頭を下げられる理由がない。
私の方がもっともっと酷いことをした。
どんなに言葉を重ねても、もしかしたら伝わらないんじゃないかって思うくらい、酷いことを。
航平の腕を引いて、半分強引に姿勢を正させた。
堪らない気持ちで俯く航平を覗き込むと、航平は私の視線を避けるように目を伏せた。
「……昨日希望が居なくなった後、加瀬君に連絡した。……大体の事情は加瀬君から聞いた」
躊躇うように告げられた言葉に、一瞬ビクッと身体が震えた。
「……希望が派遣会社の社員だっていうのも、俺を探る為に秘書として派遣されたってことも」
淡々と告げられる言葉を聞いて、目の前が真っ暗になった気がした。
自分の口で伝えないと、って思ってた。
だからせめて業務命令を撤回させたくて、無謀だとわかっていて部長に立て突いた。
それなのに、こんな形で……。
「ごめん、なさい」
世界がグルッと回るような悪寒がした。
一瞬フラッと身体のバランスが崩れるのを感じた。