常務サマ。この恋、業務違反です
そんな私を、航平の腕が支えてくれる。
嘘をついたまま、自分で説明も出来ない私を、力強く支えてくれる。
「……希望、加瀬君を責めるなよ」
航平の声がわずかに上方から降って来た。
「俺がかなり本気出して食い下がるまで、口を割ろうとしなかった。
どんなにカマかけて誘導尋問しても、二言目には『葛城は絶対自分で話したいって思ってるから』って」
「っ……」
優しく諭すように言われて、航平の腕にしがみ付いた手に力が籠った。
「そんな希望の気持ちを聞いておきながら、加瀬君に強引に言わせた。……なんとなく、こうなる予感がしたから、止めたくて」
航平の言葉をぼんやり聞きながら、その意味がよくわからなくなってくる。
黙って先を促すように目の焦点を合わせると、航平はキュッと唇を噛み締めた。
「希望が、業務命令を撤回させようと行動するのは想定内だった。俺も、加瀬君も。
だけどきっと希望の要求は通らない。加瀬君はそう言った。
そうなったら、希望がどういう行動に出るか……。俺は事態が予想通りに進むのを止めるつもりだった」
「え……?」
「希望が自分から退職願を出す事態だけは、止めたかった」
少し掠れた航平の声に、ドクンと鼓動が高鳴った。
航平の言う通りだった。
航平と加瀬君が何をどれだけ話したのかわからないけど、私は確かに二人の予想通りの展開を繰り広げて、部長の言動に大きな大きな失望を抱いた。
あの時航平がドアを破って入って来なければ、確実にあの場で口にしていたと思う。
『本日限りで、退職させて頂きます』
そうすれば、もう業務命令に振り回されずに済む。
何よりも、あんな屑同然の部長の部下として理不尽な思いを募らせずに済む。
嘘をついたまま、自分で説明も出来ない私を、力強く支えてくれる。
「……希望、加瀬君を責めるなよ」
航平の声がわずかに上方から降って来た。
「俺がかなり本気出して食い下がるまで、口を割ろうとしなかった。
どんなにカマかけて誘導尋問しても、二言目には『葛城は絶対自分で話したいって思ってるから』って」
「っ……」
優しく諭すように言われて、航平の腕にしがみ付いた手に力が籠った。
「そんな希望の気持ちを聞いておきながら、加瀬君に強引に言わせた。……なんとなく、こうなる予感がしたから、止めたくて」
航平の言葉をぼんやり聞きながら、その意味がよくわからなくなってくる。
黙って先を促すように目の焦点を合わせると、航平はキュッと唇を噛み締めた。
「希望が、業務命令を撤回させようと行動するのは想定内だった。俺も、加瀬君も。
だけどきっと希望の要求は通らない。加瀬君はそう言った。
そうなったら、希望がどういう行動に出るか……。俺は事態が予想通りに進むのを止めるつもりだった」
「え……?」
「希望が自分から退職願を出す事態だけは、止めたかった」
少し掠れた航平の声に、ドクンと鼓動が高鳴った。
航平の言う通りだった。
航平と加瀬君が何をどれだけ話したのかわからないけど、私は確かに二人の予想通りの展開を繰り広げて、部長の言動に大きな大きな失望を抱いた。
あの時航平がドアを破って入って来なければ、確実にあの場で口にしていたと思う。
『本日限りで、退職させて頂きます』
そうすれば、もう業務命令に振り回されずに済む。
何よりも、あんな屑同然の部長の部下として理不尽な思いを募らせずに済む。