常務サマ。この恋、業務違反です
それ以上言ってしまったら、うちの会社の内部事情まで漏らしてしまいそうで、私がスパイとして潜入したってことも知られてしまうかもしれない。
「……入れ替えてるつもりはないけど、必要ないってことは否定しない」
少しだけ沈黙の間を置いてから、高遠さんは静かにそう言って椅子から立ち上がった。
「秘書なんか必要ない。俺は自分で何でも出来る。……だから、あんたに求める仕事は特にない」
素っ気なく淡々とした口調に、この場で『クビ』を宣告された気分になった。
いや、私の方こそその言葉を待っていたはずなのに、それを言われるのはやっぱり屈辱だった。
「だけど」
地の底までめり込みそうになった私に、高遠さんは短い言葉で自身の発した言葉を簡単に打ち消した。
そして、ゆっくりチラッと私に視線を向ける。
「全くの無能だとは言わない。助かってることもある。
だから……あんたに出来ないことは最初から俺に任せろ。
俺も、あんたにも出来るって判断したら任せるから」
「え?」
思いがけず温かい言葉を受けて、私は素で目を丸くして、バカみたいに高遠さんを見つめた。
そんな私の視線を居心地悪そうに交わして、高遠さんはそっぽを向いてしまう。
「……もう十分わかってると思うが、俺は『片付け』が苦手なんだ。この数日であんたが纏めてくれたファイル、すごく見易かった」
「……っ……」
きっと、この数日間で私を誉めることが出来るのは、そんな部分しかなかったんだろう、と思う。
それでも私がやったことを率直に評価してくれた高遠さんの言葉が、今、私は素直に嬉しかった。
「……入れ替えてるつもりはないけど、必要ないってことは否定しない」
少しだけ沈黙の間を置いてから、高遠さんは静かにそう言って椅子から立ち上がった。
「秘書なんか必要ない。俺は自分で何でも出来る。……だから、あんたに求める仕事は特にない」
素っ気なく淡々とした口調に、この場で『クビ』を宣告された気分になった。
いや、私の方こそその言葉を待っていたはずなのに、それを言われるのはやっぱり屈辱だった。
「だけど」
地の底までめり込みそうになった私に、高遠さんは短い言葉で自身の発した言葉を簡単に打ち消した。
そして、ゆっくりチラッと私に視線を向ける。
「全くの無能だとは言わない。助かってることもある。
だから……あんたに出来ないことは最初から俺に任せろ。
俺も、あんたにも出来るって判断したら任せるから」
「え?」
思いがけず温かい言葉を受けて、私は素で目を丸くして、バカみたいに高遠さんを見つめた。
そんな私の視線を居心地悪そうに交わして、高遠さんはそっぽを向いてしまう。
「……もう十分わかってると思うが、俺は『片付け』が苦手なんだ。この数日であんたが纏めてくれたファイル、すごく見易かった」
「……っ……」
きっと、この数日間で私を誉めることが出来るのは、そんな部分しかなかったんだろう、と思う。
それでも私がやったことを率直に評価してくれた高遠さんの言葉が、今、私は素直に嬉しかった。