雨上がりの虹のむこうに
紅茶のカップに口をつけると、爽やかな香りが広がった。その温かさにミオちゃんの優しさを感じて、じわりと涙が浮かんできた。
「……美味しい」
「あたしにとって山並さんは仲間なんです。仲間を心配するのは当たり前なんです。だからあたしもここで山並さんの吉報を待っていてもいいですか? 」
飲み込んだ紅茶が食道を通り、体の中からじわりと温めてくれる。
「ありがとう……来てくれて」
浮かんだ涙を指先で拭って、ちらりと笑った。これは完璧な笑顔なんかじゃない。みっともなくて情けなくてちっちゃい自分だから、人の温もりに触れて嬉しくなった。
なんでもない日常が一瞬でうしなわれてしまうことを、私は知っている。朝笑顔で別れたのに、次に会った時には、もう……冷たい。そんなことだってある。
両親みたいに、また山並さんも亡くしてしまうんじゃないかと不安になっていた私に、温かい心を届けてくれた。ぎゅつと抱きしめてくれながら、ミオちゃんの強い声が響いてくる。
「山並さんは絶対大丈夫です。無事に登頂して優子さんの待っているここに帰ってきますから、心配しないで待っていましょう」
うんうん頷きながら、声にならない。