雨上がりの虹のむこうに


 そう思っていたから、ほんの五日くらいで元大使館の前に佇む熊を見つけた時には、本当にびっくりした。

 大きな体をかがめて中をうかがっているのは出会ったその日と変わらないけれど、あの日とは確かに違ったものがある。


「山並さん」


 声をかけたら、日焼けした顔が振り返った。雪焼けした顔で目を細めて、出会った時よりも怖いくらいだったけれど、この人が誰よりも繊細で優しいことを知っていたから、怖くなんてなかった。


「……朝早くからすみません。帰国したら、すぐにここに来たくて」

「お疲れさまでした。ブログ拝見してました。マッキンリー登頂おめでとうございます」

「ありがとう」


 照れたように瞳をゆらして、もぞりと山並さんは体を揺すり、背中の荷物を下ろす。


「皆さんに、お土産と……個人的に、品川さんに」


 お土産の包みを受け取り、もう一つ持っている箱は、ためらいがちに抱えている。
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