雨上がりの虹のむこうに
 そう言うなり、ポケットから風船を取り出して膨らませはじめた。

 ふうーっと息を込めると、細長いそれは半分くらいも膨らんだ。そして、もう一度。

 なにが始まったのか、りほちゃんもお母さんの陰から顔をのぞかせる。

「これがうさぎになるからね」

 そういってピンクの風船を振ってみせると、りほちゃんもこくりとうなずいた。

 風船をきゅうきゅう言わせながらくびれをつくり、あっという間にそれはうさぎになった。

「りほちゃん、どうぞ」

 そこでやっとお母さんの陰から出てきたりほちゃんが、風船を受け取りにこっと笑った。

「おじちゃまありがとう」

「どういたしまして」

 渡した山並さんも、自然と笑顔になる。この人、子供にならこんなに自然な笑顔ができるんだ。


 普段、あいまいな笑顔にしかならないのに。





 なんだかズルい。私ももっと自然な笑顔を見たい。
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