雨上がりの虹のむこうに
「品川さん、顔が赤いけど大丈夫ですか」
ふいに話しかけられて、ドキリとする。心臓がバクバクしてさらに赤くなっている。
「大丈夫です。ちょっと暑いだけで」
「スタジオは照明の熱がこもるから暑いですね」
今さらなことを言ってしまう。もちろん花嫁や花婿に快適に過ごして貰えるように、温度調節だってしている。
ああ気まずい。
「手早く済ませて部屋を移りましょう。式場のほうが過ごしやすいですよね。すみませんがレフ板お願いします」
レフ板を持ちながらもやっぱり山並さんが気になってしまった。ちらりと盗み見ると、わかりづらい笑顔の山並さんが、幸せそうな二人の写真を穏やかに撮影していた。
新郎新婦お二人の写真は、スタジオだけでなく、庭のほうでも撮影されるので山並さんを伴いぞろぞろと移動する。
インカムで庭に移動することを伝え、その後の挙式の手配をお願いする。よいお天気に恵まれて、庭の木も鮮やかな花をつけていて、目にも楽しい。