にじいろ。



――そういえば。


彼はふと思った。


幼い頃はよくここでじっとしていたものだ。


何をするわけでもなく
ただただ1人で。


周りから見れば
寂しい男の子だったかもしれないが
彼にはそれが普通だった。


自分が正しい。


自分は他の人とは違う。


自分が一番賢いんだ。


自分のことをそう考え
楽しそうに遊ぶ周囲の人間を
ばかだと思いながら生きてきた彼は
周囲から浮いた存在であり
それを他人に受け入れてもらえない





――いわば"嫌われ者"だった。





でもそれは
彼だけではなかった。


もう1人
彼と同じ"嫌われ者"がいた。


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