会社で恋しちゃダメですか?


「部長、いいんですか」
あおいが部屋を去った後、園子は思わず山科にそう言った。


「いいんだよ」
「でも……彼女誤解して……」


園子を二人の間に引っ張りだしても意味がない。自分はなんの関係もないのだから。


山科は園子の目をじっと見つめる。何かを言いたげな表情。でもすぐに視線をそらし、パイプ椅子を鳴らして席を立った。


「つまんないところ、見せちゃったな。悪かった」
「彼女とちゃんと向き合った方がいいと思います」


園子は言う。余計なお世話だと思ったが、あおいのあの表情を見てしまうと、言わずにはいられなかった。


「きっと、いろんなことがありすぎて、ごちゃごちゃになってるんですよ。ちゃんと話せば、元の二人に戻れます」


机の前に立っていた山科が、園子を見る。
その目が、なんだか……。


園子の胸がビクンと跳ねる。


「君は、ずいぶん無邪気に、残酷なことを言うんだな」


園子はその言葉に驚いて「え?」と思わずつぶやいた。


山科はしばらく園子のびっくりした顔をみつめ、ふいっと視線をそらして部屋を後にする。会議室に取り残された園子は、山科の言葉を繰り返し考えながら、動くことができない。


どういうこと?
わたしは何かを見逃してる?

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