腹黒教師の甘い策略
保健室に戻ってきて、携帯を見つめてもう20分が経った。
……どうしよう。
終わったらかけてみようかな。
大丈夫?って言うくらいなら…
……私が心配したって別におかしくないよね?
さっきからこんなことを考えて、20分が経過している。
寝てるかも。いや、でも……、
「あー、もう!」
だらだら悩むのは好きじゃない。
私は意を決して、発信ボタンを押して、耳元まで携帯を持っていく。
ただ電話をかけるだけなのに、こんなに緊張するなんて、バカみたい。
そう思いながら、ドキドキと鳴り響く胸に手をあてながら、谷崎が出るのを待っていると、コール音が止まった。
「……も、もしもし?」
「……有沢?」
電話越しに聞く谷崎の声。
いつもよりも弱々しく聞こえる。
「た、体調不良だって聞いて……その、あの……。」
いつもと違う谷崎の弱々しい声に、どんな言葉をかければ良いのか悩んだ、声がうまく出せなくなった。
なにやってるの。相手は谷崎よ。ただの谷崎!
そう何度も言い聞かせるも、変に緊張して喉の奥が乾いて声が出ない。