溢れる手紙
その姿を見た男は、
「ハッハッハッ!」
馬鹿にしたように笑った。
「龍を傷つけるなんて、許さない!」
すると、それを聞いた男が急に怖い面をしてピクッと耳を動かした。あたしは、その男を無視して龍の方へ行き腕を掴み立たせた。
「行こう。」
連れて行こうとしたら、
「待てよ」
凄く、低い声。振り向くと、あたしの頬に拳が飛んできた。
「ウッ…」
口から、血の味がした。頬は、切れてスッーと血が流れた。
「テメェ…」
龍がその男に掴みかかる。その光景を見てて、何も動けなくなった。足が震えてる。
海ちゃんに連絡だっと思いポケットから手を突っ込んだけどない。そうだ…部屋に置きっぱなしだった。どうしよ…殺られる龍が…
龍は、その男に20発近く殴られていて倒れていた。龍は、動いていない。
「龍!龍!」
涙目で叫んだ。反応ない…嫌だ…嫌だ。
男がゆっくりとこっちに向かってくる。来ないで…来ないで…お願い。目を閉じた。海ちゃんの笑った顔が蘇ってきた。幸せに笑う海ちゃん。助けに来てよ…ねぇ…守り抜くって言ったじゃん。どうして来ないの?
ブォンブォンブォン…
バイクの音が聞こえた。えっ…海ちゃん!目を開けると、前には海ちゃんがその男を鋭い目で睨んでる。
「待てよ」
あたしの方へ歩いていた男の足が止まった。そして、振り向く。
「誰だ?テメェ?」
海ちゃんは、ゆっくりとその男に近づいていく。
「笹川勇斗」
それだけ言うと、海ちゃんの所に向かって走っていった。
「おらぁぁ!」
拳を、顔に向ける。
「キャ…」
思わず目を瞑る。
ドサッ…再び、目を開けるとなんと、男が倒れていたのだ。
えっ、えっ、理解できない。頭の中真っ白。
すると、走ってあたしのところへ来てくれた。
「お前!血出てんぞ!」
腕を思いっきり掴まれ、急いで近くの病院に連れていかれた。そのあいだ、2人とも無言だった。
「こいつ、お願いします」
医者に言うと、すぐに出ていった海ちゃん。「手当しますね」
手当道具を持ってきた医者は、ガーゼとピンセットを持っててあたしの頬にゆっくりと当てた。
「ひゃ…」
ひんやりと冷たい。
「痛いですか?」
「大丈夫です」
治療が終わると、塗り薬をもらい病院を出た。すると、駐車場に海ちゃんがいた。すぐに走って向った。
「送っていくから、乗れ」
あたしは、黙ってバイクに跨った。なんか、色々ありすぎて疲れたな…
「アイツら、捕まったらしい」
「そっか…てか、龍は大丈夫だったの!?」
「ああ…手術して、今寝てるよ。」
良かった、無事で…明日、お見舞い行かなくちゃ。
家に入ると、リビング通過して部屋へと行った。お母さん達と会う気分じゃなかった。それよりも、身体を休めたい。あたしは、倒れるようにベットにダイブした。
ドサッ…
「はー」
ため息混じりで、深く吐いた。そして、だんだんと瞼が閉じていき目を瞑った。
「友希。ごめん、もう俺と一緒に居ないでくれ。バイバイ」
「待って!待ってよ、海ちゃん!」
ハッ…目が覚めた。夢だ…すっごく変な夢を見た。
「海ちゃん…」
あたしは、息を切らした。この夢が悪夢になることは誰も知らなかった…
ゆっくり身体を起こし、窓を見た。辺りは、真っ暗だった。時計に視線を移すと
「1時…中途半端だな」
とりあえず、部屋を出た。階段を降りて、直で風呂へと向った。
上がってきて、再び部屋に戻る。あたしはさっきまで寝てたので全然眠れなかった。次の朝、あれからまた寝ていた。二度寝していたので体がだる重い。
「はぁ…きつい」
朝からテンションが上がらない…でも、学校には行かなくちゃ。クローゼットから制服を取り出して、着替える。
あれ?海ちゃん今日は居ないのか…
ただの寝坊だろうと思いそこまで気にしてなかった。15分の道のりをひたすら歩く。
海ちゃんが居ないからなのか、時間が長く感じた。
授業の準備をしていると、
「ねぇ、」
誰かに呼ばれて、あたしの肩に触れた。
黙って振り向いた。
「はい?」
そこには、同じクラスメイトの人だった。まだ話したことのない子。あたしの印象だと結構派手な人なんだと思う。
「ちょとついてきてほしい所があるんだけど」
「ついてきてほしいところ?」
「そう。」
そう言って、その子は教室から出ていった。あたしも、その後ろをついて行く。
着いたところは、なんと4組の教室。
「入って」
その子は、指示した。
静かに入ると
「龍…」
そこには、ポツンと1人机の上に胡座かいて座っていた。
「龍ちゃん、連れてきたよ!」
後ろから声が聞こえた。
「サンキュー」
女の子は出ていった。
しばらくの沈黙が続いた。
「あ、この前はごめんな。心配かけて」
沈黙を破いたのは、龍だった。
申し訳なさそうに謝っている。
「あっ、いや全然。てか、怪我大丈夫だった?」
「おう、なんとか治ってきてる」
呟くように吐いた龍。
少しだけ安心した。
「聞かないんだ?」
「え?」
「俺があんなんなった理由」
違う…聞かないじゃなくて、聞けないんだ…あの時の全てを知ったら龍もきっと苦しい。あたしもそれを聞いたら怖い。
「あえて、聞かないでおく。」
龍は、えっ?て顔であたしを見てる。ビックリしたようだ。あたしは、笑って見せるけど心では笑ってない。表だけ見せてる。
すると、ドアを開ける音が聞こえた。
ガラッ…
2人同時にドアを注目した。
「なーにやってんだよ。お前はよ」
「海ちゃん!」
「海星先輩!」
龍は、さっきまでの態度とは違い机から急いでおり海ちゃんの方へ寄ってきた。
「先輩、申し訳ありませんでした。」
丁寧にお辞儀をした。
「お前、あんま暴れんなよなぁ」
海ちゃんは、フッて鼻で笑った。そして、龍の頭を撫でていた。
何故かあたしも、その二人の姿を見守るように笑っていて穏やかな雰囲気になっていた。
すると、海ちゃんがあたしの方に向かってきて肩をグイッと引き寄せられた。
「友希の彼氏になったから」
海ちゃんは、龍にピースサインを送っていた。
「うっそ…」
かなり驚いている。そりゃそうか…まさかあたしもこんな展開になるって思ってもなかったし、でも今では幸せいっぱい。海ちゃんと出会ってから心から良かったって思う。精神的にも自分自身にも大きく成長できたのかな。
「そう言う事だから…」
「先輩〜そうだったんですね!おめでとうございます」
そう言うと、あたしを跳ねのけて海ちゃんに抱きついてる。
「おい、やめろよ」
海ちゃんは、一生懸命離れさせるけどなかなか放してくれない龍。ようやく、授業も終わり1日が終った。
帰る用意をしていると、着信音が聞こえた。
「もしもし」
それは海ちゃんからだった。学校に居るのに平気で電話に出るあたし。
「あ、友希?今、校門待ってるから急いで来い」
それだけ言うと電話を切った。
あたしは、無我夢中で走って会いたいって気持ちが高鳴った。
「早かったな」
バイクの前でしゃがんでタバコ吸っていた。
「だって、急いで来いって言ったじゃん」
「本当は?」
ニヤニヤしながら聞いてくる海ちゃん。
「早く会いたかったから」
恥ずかしいから、横を向きながら言ったあたしに対しずっと見つめてくる。
「何よ。」
軽く睨むと
「なんでもねぇ。ほら、さっさと行くぞ」
あたしを、立たせバイクに乗った。
なんだよ、こいつ…絶対なんかあるだろ。
なんか、腹たったから
「ばーか」
って耳元でつぶやいたら
「お前だろ」 
って言われて、もっと腹たった。
こんちくしょ。だから、バイクを揺らしてあげた。海ちゃんはブツブツ言いながら怒っていた。そうこうしてる間に、何故か公園に着き遊具の所に行った。公園は、子供達がはしゃいで遊んでいた。ちらほら、周りにはお母さん達同士で話していて時々子供を見ていた。
「海ちゃん、なんで公園なの?」
「今から、友達とここで待ち合わせしてる。」
「友達?なんで?」
「ああ…龍も来るぞ」
さっそく、龍と隣にいる女が来た。
「あっ!」
その女とは、クラスメイトの子だった。
「俺の彼女」
「「彼女!?」」
海ちゃんと、声を合わせた。龍に、彼女だなて。
「うち、晴子。よろしく」
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