最後のコトバ
「さっ、皐月さんっ」
「見とれて……?」
言葉の意味が分からず、聞き返そうとするけど、彼は焦った様子で言う。
「イヤ、何でもないからっ。
えっと、あ、そうそう。ここね。ここは、俺んち」
「……え?」
彼の家?
そういえば、彼の家に来るのは初めてだ。
いつも外で会っていたから、家なんて知ることもなかった。
でも、どうして彼の家なんだろう。
真っ直ぐあたしの家に行って、ほっとけばいいのに。
自殺未遂を起こしたようなヤツなんて、一緒にいたくもないだろうし。
「とりあえず、入って話そう」
そんなあたしの考えを知ってか、知らずか、あたしの手を引き中へ入ろうとする。