最後のコトバ



でも、決定的に違うのが、快く引き取ってくれる人がいたこと。

あたしにはそんな人、いなかったから。

まぁ、母親はどこかで生きていると思うけど。



「……あのさ」



なぜか、遠慮がちに彼が口を開く。



「梨華の両親は?……病院に誰も来なかったみたいだけど……」



その言葉に、あたしは感情なんてものがスッと引いていくのが分かった。

誰も信用せず、生きていたあの頃に戻ったみたいに、表情は一切ない。

目がすわっていると自分でも分かるぐらいだ。


出来たら、何も聞かないで欲しかった。

だけど、ごまかすことも隠すことも出来なかった。

毎日のように来ているのに、他の人と会わないとかありえなかった。

そうすれば、気になることだ。

大人と呼ばれる者が、誰1人として来なかったのだから。



< 60 / 83 >

この作品をシェア

pagetop