キミじゃなきゃダメなんだ
先輩の『頑張る理由』が私っていうのは、ちょっと恥ずかしいけど。
でもその中で、先輩がちょっとでも楽しいって思うときがあれば、嬉しいな。
*
「うわっ。マル、ハデにやったねぇ」
それから一時間後。
私の膝元を見て、里菜が痛々しそうに目を細めた。
「あはは....いやー恥ずかしかった....」
二回目の休憩に入る直前に、全校生徒が入り乱れるグラウンドでつまずいてハデにこけた。
痛い。痛いけどそれより心が痛い。
めちゃくちゃ恥ずかしかった.....。
「大丈夫?保健室いく?」
休憩時間に入って、グラウンドが騒がしくなる。
里菜が心配そうに言ってくれるけど、このくらいのケガはもう慣れっこなわけで。
私は「大丈夫」と笑った。