キミじゃなきゃダメなんだ
「小学生じゃないし、ひとりで行けるよ~」
合同練習に合わせてグラウンドに救護テントを張っていて、養護の先生もそこにいるから、すぐに行けるんだよね。
すると、チョコちゃんがため息をつきながら、「その前に水道で洗ってきなさい」と言った。
「あっ、そっか。そうだよね」
「大丈夫?ひとりで洗える?」
「洗えるから!さっきからなんなの里菜はー!」
笑いながら言うと、里菜もあははと笑って、「いってらっしゃい~」と手を振った。
まーったくもう。
足くらいひとりで洗えるわい。
ちょっとばかり痛む足をひょこひょこと引きずって、近くの水道へ向かう。
キュ、と蛇口を捻って、水を出した。
足を上げて、血が出ている膝に水を流す。
砂を落としながら、改めて自分のドジさにため息をついた。