キミじゃなきゃダメなんだ
先輩が何も言わないのをいいことに、左手を先輩の腰に回して抱きつく。
優しい手つきで撫でられるのが心地よくて、いつまでもこうしていたいと頭の片隅で思った。
三十秒くらい涙が落ち着くまでそのまんまでいたけど、先輩は結局何も言わなくて。
今度こそ空気を読んだらしいお化けたちも、幸いなにもしてこない。
ああ、やっと心に平穏が訪れた....。
ず、と鼻をすすって、深呼吸する。
あ、やばい。先輩のカーディガンちょっと濡らした。申し訳なさすぎる。今更だけど何してんだ私。
「す、すみませんでした....」
そう言って顔を上げると、すぐ近くに先輩の顔があって驚いた。
その目は思っていたより優しくて、一瞬だけ握っていた手の力が緩む。
目が合った瞬間、ドキリとした。
同時にまた強く手を握られて、心臓まで痛くなる。