キミじゃなきゃダメなんだ
先輩が指定した、管理棟の空き教室に入る。
確かにこの辺、人通りが少ない。
先輩といると、どこに行っても目立つからなぁ。
いや、先輩自体はそこまでないんだけど、『汐見先輩が女子といる』ということが目立つのだ。
大丈夫かな。これから何事もなく付き合っていけるかな。
机をくっつけて、向かい合ってお弁当を広げる。
初めてだな。先輩とお昼。
誘ってもらえて嬉しい。めちゃくちゃ嬉しい。
「顔がニヤけてるよ」
えっ。
まさか指摘されると思わなくて、びっくりした顔で先輩を見ると、彼は目を細めて私を見ていた。
....そう言うあなたも、ちょっと口角上がってるように見えるんですけど?
「...かっ、か、彼氏と、ご飯食べるんですよ?ニヤけちゃ悪いんですかぁ」
彼氏本人に彼氏って言うの、すげー恥ずかしいな。なんだこれ。