キミじゃなきゃダメなんだ


やがて、先輩は静かに箸を置いた。

そしてじっと私を見つめて、反撃に出た。



「.....知ってるけど?」



まーさーかーのー!


うおお、私が告白するまでは考えられなかった反撃だ。

そうか、付き合うってこういうこと!好きあってるもんね!きゃあ照れる!

じゃなくて。


「......せ、先輩は?」

「好きだよ」

「............」


そうだ。

相手を口説くことに関しては、この人の方が一枚上手だ。

私に『好きだ』と言い慣れてる。抵抗も恥じらいも感じられない。なんということだ。


「うう...もっとこう...なんか...」

「何」

「赤くなってほしい....」

「どんな要求なの....」


私を口説いて赤くなってる、あの頃の先輩が見たい....。

いつのまにか消えてたんだよ...どこ行ったの....。




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