キミじゃなきゃダメなんだ
項垂れてる私を、汐見先輩は不思議そうに頬杖をついて見つめてきた。
「....百合はさぁ。僕のこと、どのタイミングで好きだと思ったの」
ヒイ。それ聞きますか。
うええ、どのタイミング?どこだろう。あんまり明確にはなかった気がする。
ズキューンと来たのは体育祭のリレー。キューピッドの矢が見えた。脳内で。
本気で好きだと思ったのは、たぶん遊園地。
「....体育祭...からの、遊園地、だと思います」
「...体育祭?僕なんかしたっけ」
もう忘れてんのか。早いな。
「リレーですよ。先輩、アンカー走ったじゃないですか」
「...ああ...え?あれで?」
「詳しくは言いたくないです。恥ずかしいんで」
「えー....聞きたい」
無理だろう。
無邪気な笑顔にやられましたとか本人を前にして言えるか?私は無理だ。でもあの笑顔はもう一度見たいな。