キミじゃなきゃダメなんだ


項垂れてる私を、汐見先輩は不思議そうに頬杖をついて見つめてきた。



「....百合はさぁ。僕のこと、どのタイミングで好きだと思ったの」



ヒイ。それ聞きますか。

うええ、どのタイミング?どこだろう。あんまり明確にはなかった気がする。


ズキューンと来たのは体育祭のリレー。キューピッドの矢が見えた。脳内で。

本気で好きだと思ったのは、たぶん遊園地。


「....体育祭...からの、遊園地、だと思います」

「...体育祭?僕なんかしたっけ」


もう忘れてんのか。早いな。


「リレーですよ。先輩、アンカー走ったじゃないですか」

「...ああ...え?あれで?」

「詳しくは言いたくないです。恥ずかしいんで」

「えー....聞きたい」


無理だろう。

無邪気な笑顔にやられましたとか本人を前にして言えるか?私は無理だ。でもあの笑顔はもう一度見たいな。



< 487 / 549 >

この作品をシェア

pagetop