キミじゃなきゃダメなんだ



「じゃあ、遊園地は?」



...すげーぐいぐい来るな今日。

なんかパワーアップしてる気がする。

彼は今、念願の『彼氏』という立場を手に入れたんだ。それもそうか。笑顔が怖いなおい。


「....言いたくないです」

「なんで」

「恥ずかしいんで」

「なに今更なこと言ってんの」


おっしゃる通りだった。

これ以上に恥ずかしいことというか、情けないことを今まで私はたくさんしてきてる。先輩の前で。


いやでもさ、恥じらいは必要だと思うんだ。まだ付き合って二日目だよ?

先輩くらい恥じらいを捨てるには、まだ私は時間が足りない。


「....いつか言います。でも今は無理です」

「....ふーん。わかった」


よかった。

ホッとして、お弁当を再開する。


うん、お米が美味しいです。お母さんありがとう。

今彼氏と食べてます。すごいでしょ。

もし先輩がうちに来ることがあったら、たぶんお母さんは卒倒します。『なんでこんなイケメンがうちの娘と...!?』って泡吹く。たぶん。


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