キミじゃなきゃダメなんだ



「....嫉妬深くてすみませんね....」


ちょっと本気で泣きそうだった。まさか本人に指摘されるなんて。


だけど汐見先輩は、きょとんとした顔で「別にいいけど」とか言った。なんなんだよ!


「嫉妬深い彼女は嫌なんでしょう!?」

「なに怒ってんの....嫌じゃないよ」

「お、怒りますよ!どうせ私は嫉妬深いですよ!!だって先輩が笑うのなんか、私以外に見たことないもん!!」


だからその人が特別なのかなって思っちゃうじゃん!


そう言うと、当たり前と言わんばかりの顔で「そうだよ?」と言われた。


「だからなんで君がそれを持ち出してきたのかわからない。普段から君以外に笑う相手いないし。諒にすらあんまり笑わないのに」


えっ。

そ、そうなの?そんなにハードル高いの?

私が見てないだけで、同じクラスの男子とかには笑ってるんじゃないの?


「...う、ええ....?...ええ...?」

「落ち着いて。日本語話そう」

「先輩、そんなに笑わないの....?」

「...うん。特に面白いとも楽しいとも思わないし」

「じゃあなんで私には笑ってくれるの?」

「楽しいからじゃない?」


んん?

え、矛盾しなかった今。んん??


弱い私の頭が混乱した。

見かねた先輩が「ごめん。君といるときだけ楽しいって意味」と付け加えた。ああなるほど。



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