キミじゃなきゃダメなんだ



強くて前向きで、綺麗な百合。



そればかり僕は見てきたから、『友達』になるまで、百合に弱いところがあるのを知らなかった。



「...なんで先輩は、友達になってくれたんですか....？」



百合が僕を避けていたとき、百合は泣きそうな顔でそう言った。


その顔は、怖がっていた。

僕の知らない、何かに怯えていた。


あんなにいつも、堂々としてるのに。

何がこの子を、こんなに弱くさせるんだろう。

何がこの子の意志を、阻んでいるんだろう。


気になって、助けてあげたくて。


「先輩は、優しいですね」って。


言ってくれた、あの明るい笑顔のそばにいたくて。



「友達のままでもいい」って言った。


「君に好きになってもらえるように、頑張るから」って。



初めてだった。

たぶん。人生で。


自分から、何かを頑張るって決めたこと、今までなかったから。



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