白いジャージリターンズ~先生と私と空~
壁に飾ってある家族写真を見つめる。
ちょうど1年前のお花見の写真。
大好きな白いジャージの先生と、空と私。
“空”という名前にしたのは、ふたりがいつも空を見ていたから。
空には、ふたりの思い出や笑顔、涙、全部がある。
教師と生徒の恋は、想像しているようなスリルを楽しむようなものではなかった。
切なくて、苦しくて、どうしようもなく、恋しくて。
不思議な気持ちだった。
教師としての新垣和人も大好きだった。
でも、それ以上の想いにすぐに気付いた。
桜の花咲く入学式。
あの日、あの体育館ですべてが始まっていたのかもしれない。
桜の季節になると、キュンとする。
入学式と卒業式を思い出すから。
先生に出逢った入学式。
そして、先生のいる高校からさよならしなくちゃいけない卒業式。
教師と生徒でなくなるんだから、もっと嬉しい気持ちになればいいのにね。
私も先生も、すごく寂しくて・・・・・・
おかしいよね。
“お前がいない高校、寂しいな”って先生は言ってくれた。
私もそうだった。
白いジャージ着て、出席簿持って、『こらぁ~』って怒ってる先生にもう会えないんだって思うと、寂しかった。