残念御曹司の恋

「 私はあなたと結婚できるような男ではありません。 」

気になって聞いてみれば、やはり意中の相手がいるという。
少しばかり先輩気取りで、彼の背中を押すと、彼はあっさりと帰って行った。

一人個室に残されて、私はいよいよ可笑しくて笑いを堪える事ができなかった。

前を向いた途端、この仕打ちだ。
もう、神様はきっと、とことん私に結婚させる気はないのだろう。

だけど、もう一方で、ほっとしている自分がいた。
彼の事を完全に忘れられたかと言われれば、答えはノーだ。

このままたとえうまく誰かと結婚出来たとしても、私はきっと幸せになれないだろう。おそらく相手も。

だったら、しばらく縁談を受けるのは止めた方がいい。
ずっと忘れられないなら、一生一人でいるのも悪くない。

それなら、仕事もしよう。
働かざるもの、食うべからずだ。
就職するために、必要なら何か資格を取ってもいい。
帰ったら、父にちゃんと伝えよう。

そう結論付けて、私はまた一人で笑った。
頭を使ったら、お腹がすいてきた。
私はひとり、おいしそうな会席料理に向かい、食事を再開させた。
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