残念御曹司の恋
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「二人目は、どうやら女の子らしい。」

息子の竣がそう告げると、夫は「そうか」と目を細めた。

「錬(れん)は、弟がいいって言ってたんだけど。」

そう言いながらも、息子はうれしそうだ。
それに水を差すように、夫が余計な一言を口にする。

「お前に似ないといいな。」

私は思わず吹き出した。

「母さんまで…。俺だって、司紗に似てくれることを心底祈ってるよ。」

息子は少しムッとしながらも、本当に心配しているのか、その顔は真剣だった。

息子一家は少し離れたマンションに住んでいるが、時々、休みの日にこうしてふらりと遊びにやってくる。
庭では三歳になったばかりの孫の錬が走り回っていて。
それをお腹が少しだけ膨らんできた司紗さんが「走るときはちゃんと前を見て」と注意していた。
錬の顔は、竣のそれと瓜二つだ。
そして、自動的に竣と生き写しの夫にもよく似ている。
お世辞にも、将来イケメン御曹司には育ちそうにない。
ここまでくると、熊澤家の血は相当に濃いのだろうかと心配になってくる。

「とにかく、健康であればいいじゃない。」

無理矢理に話を纏めてみれば、夫も同調する。

「そうだな。元気であれば、それで十分だ。」

そう言って微笑みを向けた先では、錬が「喉乾いた!」と言ってテラスへと上がって来ていた。

「ジュースがあるから、手を洗っていらっしゃい。」

錬に声を掛けると、「はーい」と元気よく返事をして走り去っていく。
奥では、家政婦の仲本さんが「坊ちゃん、こちらですよ」と待ちかまえていてくれた。

「お義母さん、ありがとうございます。」

司紗さんが、ゆっくりとこちらに歩いてくる。
つわりは軽くなったと聞いていたが、まだ少しつらいのだろう。

「司紗さんも座って。ルイボスティーを淹れたから、ゆっくりしてね。」

「わあ、うれしい。実は、私も喉がカラカラで。妊娠中って、本当に体調が分からなくって。」

そう言って微笑む彼女は、相変わらず可愛らしく、思ったことを包み隠さず話してくれるので気持ちがいい。
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