残念御曹司の恋
目の前の本物の御曹司を、まっすぐ見つめる。
きっと私とは全く違う世界に住む偉い人に違いない。

でも。

お姉ちゃんには幸せになって欲しい。
いつも笑っていて欲しい。

できれば、その姿を近くで見届けたいと思う。
出来の悪い妹が出来ることはあまりないけれど、これだけは譲れない。

彼はそんな私のまっすぐな視線をしっかりと受け止めて「ああ、約束するよ」と答えた。

その笑顔は、彼本来のものなのだろう。
姉がよく話していたとおりの、明るく自信に満ちた御曹司のイメージそのものだった。


すっかり和やかになった空気の中、今度は彼が切り出した。

「司紗を迎えに行くために、君に一つお願いしたいことがある。今日この後、時間はある?」

そう言って首を傾げた御曹司に、私は首を大きく縦に振った。
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