残念御曹司の恋
その後、彼が呼んだハイヤーに乗って、私が連れて行かれたのは銀座にあるジュエリーショップだった。

車内で姉の好きなブランドを聞かれたが、姉にはあまりこだわりがないことを伝えると、彼は迷わず誰でも知っている有名店の名を運転士に告げた。

姉に贈る指輪(もちろん、エンゲージリングだ)を一緒に選んでもらいたい。

彼の願いを聞いて、私はすぐに承諾した。
姉の好みについては、誰よりも熟知している自信がある。

ショーケースの中から、迷わず姉が好きそうなシンプルで上品なデザインのものをいくつか選ぶ。
最後は、熊澤さんが悩みながらその中の一つを指さした。

それが近い将来姉の薬指で輝くことを想像して、思わず涙がこぼれそうなった。

「ありがとう。助かったよ。」

箱にリボンを掛けてもらう間、彼は照れくさそうに笑った。

「情けないことに、10年以上の付き合いなのに、全く司紗の趣味が分からなくて。普通の恋人同士なら、そんなこと多分ないんだろうけど。」

「いや、彼女の趣味をちゃんと理解してる男の人って思ってるより少ないですよ。私の彼もきっと分かりません。」

「そうかな。ちなみに、紫里ちゃんなら、どれを選ぶの?」

「これとか、これですかね。」

私はショーケースの中で気に入った指輪を指さす。

「なるほど。姉妹でも好みは違うんだな。」

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