残念御曹司の恋
司紗の向こうでの仕事の引継の目途が立ったのは、プロポーズから三ヶ月後のことで。
契約期間通りの半年で退職して、東京に戻ってくることになった。

それが決まるまで、俺も黙って待っていた訳ではなくて、東京に戻る前にやるべきことを、粛々と進めてきた。

まず、プロポーズ後早々に司紗の両親に挨拶に行った。

俺がクマザワの跡取りだと知って、何度も面識があった彼女のお義母さんだけでなく、お義父さんもとても驚いていたが、真剣に話をして、無事に結婚の許しをいただいた。
問題があったとすれば、紫里ちゃんが終始ニヤニヤしていたことくらいで、少し居心地が悪かった程度だ。


そして、今日。
なかなか都合が付かなかったうちの両親に、やっと司紗を紹介する。
昨日から実家に戻っていた司紗を迎えに行って、俺の家に向かう途中だ。

司紗は心配しているが、先に話をしたところ、全く反対などはされていない。
元々、プライベートに口を出したことなどない両親だ。
むしろ、母親は「早く会いたい」と何度も多忙な父親をせっついていたくらいだ。

だから、俺としては何も心配をすることはない。
文字通り、今日は司紗を二人にただ‘’会わせる‘’だけだ。
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