極甘上司に愛されてます
でも、これからもちゃんとアイツと付き合っていくには、両親のこともきちんと伝えなければならない。
もちろん、留美の時と同じ結末をたどる気はない。
あの頃よりは、俺だって成長しているはずだから。
惚れた女を今度こそ、自分の手で守ってやりたい……
『――そろそろ昼だな。腹減っただろ? もう帰っていいぞ』
菊爺の声に我に返ると、時計は確かに昼前を指していた。
けれど俺は首を横に振り、椅子から立ち上がって言う。
『売店で何か買ってくる。リハビリ、午後からなんだろ? それも付き合う気で今日は来たんだから』
『ああ、そういえば北見さんにそんなことづてを頼んだな……でも、今日はいいんだ。これから、他にも見舞いが来るから』
『……見舞い?』
家族のいない菊爺に会いに来るのなんて、俺くらいのものだと思っていたが……
会社関係なら名前を言うだろうし、俺の知らない親戚の誰かか……
『とにかく早く帰れ』
『……なんだよ、追い出したいみたいに。まあいいけど。……じゃあまた来る』
『無理せんでいいぞ』
背中にそんな声を受けながら病室を出ると、俺は首をひねりながら廊下を歩き出す。
……どうも様子がおかしいな。
リハビリ付き合えって最初に言ったのは菊爺の方なのに、あからさまに俺のこと邪魔もの扱いしていたような気がする。