俺様富豪と甘く危険な恋
「どうしたの!? ジェスの悲鳴がきこ――」
「ソフィー、ビールがかかっちゃっただけなの。なんでもないわ。ちょっとびっくりして叫んじゃったんだけど」


ダニエルのせいだとわかったジェシカはバッグにかけられたビニール袋拭く作業をしながらしおらしく説明する。

一瞬、栞南のせいだと思ったときのジェシカの顔は鬼の形相だった。


「栞南、大丈夫か?」


ぼんやり突っ立っている栞南に蓮は近づき話しかける。


「え? あ、うん。シャワー浴びてくるね」


栞南は自分の方を見ているダニエルにニコッと笑みを向けると、2階の主寝室へ向かった。

部屋の前に来ると、蓮が追いついて先にドアを開けてくれる。

部屋の中へ入り、ドアがピタリと閉まると、今まで堪えていた笑いがクスクスから始まり声を出してお腹を抱えて笑う栞南。

蓮が今にも笑い転げそうな栞南に口をポカンと開け、あっけにとられている。

説明をしようにも一度笑いのツボに入ったら、しばらく口がきけない。

笑いすぎてお腹がひきつれたような痛みが走った。


「もうっ、お腹が痛いよ」


ようやく笑いの神様が過ぎて、こわばってしまった顔に手をやる。


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