マルボロ・ヒーロー

彼女の、はにかんだ笑顔。
伏せたまつ毛の影。
前髪を弄る癖。
俺の名前を呼ぶ、柔らかな声。


迷子のヨットのように、ゆらゆらとあてもなくさまよう想いを
どうしても断ち切る事が出来ぬまま

全部引き連れて、ここまで歩いてきた。



「情けね……」



零れ落ちた独り言は
風に紛れて、消える。



ーーー 彼女の中に、とっくに俺はいないとしても。

願わくば、神様


……もう一度だけ。


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