アイスクリームの美味しい食し方

「言葉で言わないと分かりません。
何かありましたか？」

彼はたんたんと
朝食の準備をしながら私を叱る。

「す、すみません。」
あー、やっぱりこいつ苦手だ。


「謝るようなことをしたのですか？
俺は何かあったか聞いたのです。
さっさと答えなさい。」

彼は白い調理服を着ていて、
それが彼の外見の爽やかさを
助長させるが、
私には冷酷さを増させてるような気がしてならない。

威圧感があるんだよな。


「…。
起きられなくて、
仕事ができませんでした。
すみませんでした。

身体に異常はありません。」

私は時計を見た。
針は7時を指していた。


「まぁ、昨日は色んなことがあって疲れていたことと思います。
夕方は大丈夫ですか？」


ん？以外と優しいな。


「…あの、母が入院していて、
昨日も一昨日も連絡せずに
行ってないんです。
すぐに帰ってくるので、
病院に行ってもいいですか？」


私は図に乗って、
お願いをした。


「お母さんにこの状況のことを
話しますか？」


「…。」


「病院は近くですか？」

「…はい。学校の近くです。」

彼は朝食をテーブルに運んだ。
私は慌てて手伝った。


「俺も行きます。」

そう言って彼は席に座った。


「は？は？いや…ちょっ…」

「下駄箱で待っててください。」
私にも座るよう促した。

「えっと、母にバレるのは…っ！」
私は問い詰めるように座ったが、
彼は新聞を広げ、
朝食を食べ始めた。

「いいから、早く食べなさい。
8時には家を出ますよ。」

な、なんていう強引な。

私は言い返す暇を与えられないまま、
朝食を貪った。

何故なら
お腹がモーレツに
空いていたからだ。