君を好きな理由
何だか悔しい。

悔しいけれど、自分が赤くなっているのは解ってるわよ。

お酒を飲んでるから赤い、という言い訳もあるけど、言い訳を言っても、すでにばれているし。


「い、いきなりは対応しきれないわよ」

「その様ですね。素直に認めないのもはるかさんらしいですが」

「私の何を知っているつもりでいるのよ」

「全部では無いでしょう。他人が他人を理解するのは、なかなか難しい。レッテルを貼るのは勝手ですが」

「まぁ。分類すると理解しやすいからね」


“そういう人”だと思えば“楽”だから。


「では、俺を分類してみてくださいよ」

「え? 分類していいの?」

「出来るのであれば」


ニッコリ微笑む笑顔が挑戦的。


「ムカつく……」

「まぁ、そうやって拗ねないで」

からかうように言われて、睨み付ける。

「拗ねてないわよ。子供じゃあるまいし」

「いえ。拗ねてるでしょう。あきらかに」

む、ムカつく~!

「随分と子供扱いしてくれるじゃない」

「そんなことないです。さすがに子供を旅行に誘う趣味はありませんから」

いや。まぁ……そりゃそうだけどさ。

「食べたらお風呂にしましょう。なかなか風情があっていいですよ?」

「お風呂?」

「一緒に入りますか?」

入るわけがないでしょうが!

嫌だもう、何だかとっても調子が狂う。

突然、当然のように、妙な事を言ったりやったりするのは慣れてきていたけど、こういうパターンは慣れない。


と、言うか、いいようにからかわれて悔しい!


「背中を流してくれるわけ?」

ニッコリと微笑むと、

「いいですよ。でも、それだけで終わりませんが良いですか?」

爽やかな笑顔で返された。


……無理です。貴方の方が一枚上手でした。


「すみません。遠慮します」

「楽しそうですのに……」

「ごめん。男性とお風呂に入ったことはないの」

「おや。これはまた正直ですね」

軽く驚いた顔をされて、お酒を飲んだ。

私だって、過去に何人かと付き合ってきた訳だし、経験がない訳じゃない。

だからと言って、ところ構わずいちゃついた記憶もないし、ましてやお風呂に一緒にはいるなんて……


明るいじゃない。

そりゃ、それなりに努力はしてるから、ウエストだって大学生時代と比べても大した変化はないけど……

明るいところで見るのと、薄暗いところで見るのとじゃ、雲泥の差が出ると思うのね。

それに、最近のお肌は水も弾かなくなって来たって言うか、若い頃と比べると、色々と考えちゃうって言うか。


「随分と考え込んでいますが、この旅行で貴女を抱くつもりはないですから、落ち着いて下さい」

「へ?」

と、間抜けな声を上げたら、その口に牛たたきを突っ込まれた。

「はるかさんがOKしてくださるなら別ですが。一応、付き合い始めたばかりでそれだと、身体目当てみたいじゃないですか」

口の中でたたきをモグモグしながら、葛西さんを上目使いに見る。

「……貴女、今までどんな付き合い方をしてきたんですか」

呆れたように言われても困るな。
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