手を繋いで-Pure love-
「優生ー!絶対!連絡してね!!」



 志帆が手を振りながら叫んでくる。
 笑顔だけど、少し寂しそうにも見えた。



「ああ、わかった」



 志帆に答えるように笑顔で手を振った。
 愛美と梨緒菜も、涼太も手を振ってきている。

 それぞれに笑顔を向けて手を振った。



 俺の家はみんなと逆方向。
 それにみんなよりも結構遠いから、俺だけ電車。


 一人で駅に向かう。


 もう慣れたけど、遊んだあとだからやっぱり寂しい気もする。
 昔はどこに行くにも蒼と一緒だったから寂しくなかった。


 こんな考え、女々しすぎてあいつらは呆れるかもな。

 思わず自虐的に笑ってしまう。
 蒼ならどう思うかな…



「蒼…」



 無意識に名前を呟く。
 こんなことはもう今までに二度や三度じゃない。



 蒼に、会いたい。



 そう思った時だった。










「…ゆ、うき……?」



 儚げで、今にも消えそうな声が聞こえた気がした。
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