手を繋いで-Pure love-
「とりあえず…俺の家に行こう。」

「うん…」



 歩き出してから気付いた。
 蒼の目は、見えていない。

 白い杖を持ってる。
 そして何より、目をずっと閉じている。



「蒼、目が…」



 俺が何を聞いても、何も答えてはくれなかった。
 だけど、問い詰めることはしなかった。



「優生…?」

「…ん?」


「腕、貸してもらっていい?」



 やっと口を開いた蒼は、俺の腕に自分の腕を絡めた。

 それはやっと会えた喜びなのか
 目が見えないせいなのかは、分からなかった。










「着いたよ」

「…懐かしい香りがする。」



 目が見えない代わりに、息を吸った。
 蒼が幼い頃に何度も訪れていた家だ。

 何も変わらない。



「優生ー、帰ったならちょっと…」



 奥から母さんが出てくる。
 蒼を見た途端、目を見開いて蒼を抱きしめた。



「母さ…」

「蒼ちゃん!蒼ちゃんよね…!?」



 母さんは泣いてた。



「おばさん…?」

「苦しかったでしょう?辛かったでしょう…?
 よく耐えたわね…!もう大丈夫よ、大丈夫だからね…!」



 俺には母さんの言葉の意味がわからない。
 だけど蒼は、何かの歯止めが切れたかのように



「おばさん…っ!…っ、うわぁぁぁあっ…!!」



大声で、泣き出した。
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