この恋、永遠に。【番外編】
* * *

 翌日。午前十時頃に空港に着いた私たちは、秘書の沢口さんに全てをお任せし、空港内にあるカフェでくつろいでいた。

 今回の社員旅行は予定がA日程・B日程の二回に分かれており、参加人数は両日程合わせて二千人弱らしい。仕事や家庭の都合などで参加しない社員には積立金が返金されるということだ。

 私たちは最初に出発するA日程だ。同じA日程で参加する社員も、全員が一緒に出発するのではなく、社員はグループ分けされ、それぞれ四回、二日に分けて飛行機に乗るらしい。グループによっては夜中に現地に到着する便もあるらしく、私たちの便が昼間の出発だったことに、私はほっと胸を撫で下ろしていた。とはいえ、これはきっと沢口さんが気を利かせて手配したのだろう。それに、妊娠している私が夜間着の便に乗ることに、過保護な柊二さんが同意するとも思えない。

「美緒、言い忘れていたけど、今回の俺たちの席は経費節減もあってビジネスクラスなんだ。窮屈な思いをさせるかもしれないけど、我慢してくれるかな?」

 少し心配そうに聞いてくる柊二さんの様子に私は笑った。ビジネスクラスが窮屈だなんて、私は全然思わない。

「柊二さん、私にはビジネスクラスでも贅沢なくらいですよ。エコノミーで良かったのに」
 私が笑うと、彼は首を振る。
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