この恋、永遠に。【番外編】
「それは駄目だ。妊娠している美緒を狭い席に押し込めるなんて、できないだろう?」

「狭いだなんて……。席同士が近くて柊二さんとくっついて座れますよ」

 そこまで言ってから私はまた笑った。

「でも、柊二さんがエコノミーの席に座る姿も想像できませんね」

 私がいつまでもくすくす笑っていたからか、彼も表情を和らげた。

 私は柊二さんと出会うまでは、当然とでもいうか、エコノミークラスしか利用したことはなかった。だからそれが私にとっては普通であって、ビジネスクラスやファーストクラスなどが贅沢なものという認識だ。私が足の手術のために柊二さんとアメリカに渡ったとき、初めてファーストクラスに案内されて、そのサービスに圧倒されたものだ。そもそも、搭乗前にくつろぐラウンジも、私がいつも利用していたような一般向けとは別に用意されていたのだ。柊二さんはいつもこんなサービスを受けていたのか、と改めて育ちの違いを感じたものだった。

 私たちは搭乗時間までこのカフェで少し時間を過ごし、アナウンスが流れ沢口さんが呼びにきたところでその場を後にした。



< 4 / 12 >

この作品をシェア

pagetop